右上1番は失活歯（神経がない歯）のため、歯質に変色が見られます。
右上2・左上1・2番にはレジン充填がされており、虫歯もあります。
歯列不正もあるので本来であれば矯正治療が理想ですが、患者さんのご希望で今回はセラミッククラウンでの歯列の改善も含めた審美歯科治療をご希望されました。

右上1番は失活歯のため、根尖部（歯の根の先）に問題がないか診断をしました。
根管治療に問題はなかったのですがコア（芯になる土台）がしっかり入っていなかったため、ファイバーコアから製作することになりました。

右上1番の口蓋側（上顎側）は大きくレジン充填がされており、歯質が欠けて虫歯もあります。
歯列不正もあり、左右1番がVの字のようになっています。
本来であれば矯正治療が理想的であることをご説明しましたが、今回はセラミッククラウンでできる範囲で歯列改善も含めた審美歯科治療をご希望されました。

●右上1・2番 / 左上1・2番
・セラミッククラウン
●右上1番
・ファイバーコア

歯列改善を含めた審美歯科治療で重要なのは患者さんが描いている治療後のイメージと実際の治療結果との誤差をなくすことです。
「こんな程度なら治療をしなければ良かった」や「もっとこうして欲しかった」など治療結果を満足して頂けないことは避けなければなりません。そのためには事前の診断とシミュレーションがとても大切です。

治療前に現状の歯型をおとりして、その模型を基に治療後の歯の形や歯列をイメージしたシミュレーション模型をお作りします。その模型を確認していただいた上で治療を行うかどうか最終的なご希望をうかがいます。
患者さんは模型を確認後、治療をご希望されました。

治療を開始する前に診断用シミュレーション模型を模したプロビジョナル（仮歯）の製作を技工士に依頼しました。そのプロビジョナルを印象前にセットして、最終的な歯の形態と歯列をイメージしていただきます。便宜上、プロビジョナルは4歯を連結していますが、最終的なクラウンは1歯ずつ製作します。

まず右上1番のファイバーコアを製作し、セットしました。
右上2・1番、左上1・2番の4歯のセラミッククラウンの印象をします。
クラウンのマージン（境目）部の歯型を正確に製作することが重要です。マージンの印象を精度高くするために圧排糸を埋め込みます。

宮本歯科では印象（歯型とり）にこだわっています。デジタルスキャナーによる光学印象は宮本歯科で求める精密さに達していないため、患者さんにはご辛抱をお願いすることになりますが、シリコンでの印象を選択しています。

シェード（セラミックの色）は当院で治療した臼歯部のセラミッククラウンに合わせてお作りします。

約2週間後、セラミッククラウンをセットしました。
歯列も今までよりも改善されており、患者さんは大変満足されました。

プロビジョナルは連結していましたが、クラウンは1歯1歯単独でセットしました。
1歯ずつにすることでフロスがしっかり通せるため、清掃性が高くなります。
ナイトガードもご検討中です。